離婚をするには、離婚について双方の合意が必要となります。
離婚について、合意があるのであれば、協議離婚であれば、離婚届けを提出することで、離婚となります。
また、離婚調停であれば、調停離婚となります。
では、相手方が離婚に応じない場合離婚できるのか、また、相手方から離婚を請求された場合、離婚させられるのかは、裁判上の離婚原因の有無のよって決まります。
離婚の裁判(離婚訴訟)では、民法の定める下記のような離婚原因があると家庭裁判所が認めた場合に、離婚判決が言い渡されます。
1 意義
不貞行為とは配偶者以外の異性と性的関係を持つことです。いわゆる浮気や不倫と言われているものです。
なお、同性愛行為は、不貞行為に該当しません。
2 ポイント
被告が不貞行為を自認している場合を除き、不貞行為の現場を押さえた証拠などによって、立証していく必要があります。
例えば、興信所による報告書、不貞行為の様子を撮影した写真・動画、使用済みのコンドームや精液が付いたティッシュペーパー、ラブホテルの利用明細書、性行為に関するメールや手紙、不貞相手の証言などが考えられます。
1 意義
悪意の遺棄とは、夫婦間の同居・協力・扶助義務ないし婚姻分担義務に違反して、夫婦の一方が他方が放置するような行為をいいます。
例えば、夫が妻からの同居請求にも応じず、生活費を全く負担しない場合などが考えられます。
1 意義
配偶者が3年以上にわたって生死不明であり、客観的に音信不通3年以上生死不明状態であれば足ります。
今日では、事故や事件の場合、失踪宣告制度や認定死亡制度で、婚姻を死亡解消でき、あまり主張されない離婚原因です。
1 意義
相手方が強度で回復し難いほどの精神病のにかかったときは、他方はその意思により離婚請求できます。
ただし、判例によって、精神病離婚が認められる要件が加重されています。具体的方途論とよばれるものです。
最高裁判所は、「民法は単に夫婦の一方が不治の精神病にかかった一事をもって直ちに離婚の訴訟を理由にありとするものと解すべきではなく、たとえかかる場合においても、諸般の事情を考慮し、病者の今後の療養、生活等についてできるかぎりの具体的方途を講じ、ある程度において、前途に、その方途の見込みのついた上でなければ、ただちに婚姻関係を廃絶することは不相当と認めて、離婚の請求は許さない法意であると解すべきである。」と判示しています(最判昭和33年7月25日民集12巻12号1823頁)。
2 ポイント
強度の精神病であるか否かは、専門医による鑑定結果を前提に判断されます。その判断では、夫婦としての協力義務を十分果たしえない程度の精神障害なのかがポイントとなります。
そして、裁判例では、上記の具体的方途論によって病者の生活に配慮を求めていることから、離婚訴訟においては、生活費や療養費の負担、配偶者に代わる保護者の存在、療養先の受入先の看護体制の程度などにつき、裏付け資料をもって主張立証していくことになります。
1 意義
婚姻を継続し難い重大な事由とは、婚姻共同生活が破綻して、その修復が著しく困難なことを言いいます。
当事者双方の婚姻継続の意思が無いこと(主観的要素)と、客観的にみて婚姻共同生活を修復させることが著しく困難であること(客観的要素)からなります。
いわゆる「破綻」ですが、裁判所による「破綻」の認定は厳格で、一般の方とはギャップがあるかと思われます。
2 ポイント
婚姻を継続し難い重大な事由を離婚原因とする場合には、これを基礎づける具体的事実を明確にして主張・立証していくことが、ポイントとなります。
通常は、相当期間にわたる別居、暴力・不貞などの有責行為になるかと思われます。
例えば、暴力の証拠であれば、暴力行為の裏付ける診断書、写真、警察の記録、暴力を振るったことを認める手紙やメール、日記、目撃者の証言などが証拠になります。
しかし、実際には、主張している人の主観的な評価や価値判断のみが主張されている場合や本人の言い分をそのまま主張しており、法的検討が不十分なものもあります。
ポイントを踏まえた訴訟活動が肝要です。
例えば、不貞行為を働いた配偶者が離婚訴訟を提起する場合など、有責配偶者からの離婚請求は認められるか、というのがここでの問題です。
1 かつては、裁判所によって否定
「踏んだり蹴ったり判決」として有名な最判昭和27年2月19日民集6巻2号110号は、不貞行為をした夫からの離婚請求に対して、最高裁判所は、妻「は全く俗にいう踏んだり蹴ったりである。法はかくの如き不徳義勝手気儘を許すものではない。道徳を守り、不徳義を許さないことが法の最重要な職分である。総て法はこの趣旨において解釈されなければならない。」として、有責配偶者からの離婚請求を認めませんでした。
この最高裁判所の判断によって、それ以降、有責配偶者の離婚請求を認めない法理が確立しました。
2 制限的肯定の方向への転換
その後、上記の判例は、昭和62年9月2日の最高裁判所の大法法廷判決によって修正されることになりました。
上記最高裁判決は、有責配偶者から離婚請求であっても、
①夫婦の別居が、両当事者の年齢及び同居期間との対比において相当の長期間に及び、
②夫婦間に未成熟子が存在しない場合には、
③相手方配偶者が離婚により精神的・社会的・経済的に極めて過酷な状況におかれるなど離婚請求を認容することが著しく社会的正義に反するような特段の事情がなり限り、
有責配偶者からの離婚請求が許されるとします。
上記の①、②、③については、3要件であると言われたりします。
3 その後
上記の最高裁大法廷判決の①から③を要件として理解するのが通俗的理解かもしれません。要件としてしまうと、①から③すべてを満たさないと、有責配偶者からの離婚請求は認められないことになります。
もっとも、上記の最高裁大法廷判決については、論者によって、受け取り方に違いがあります。
上記最高裁判決は、3要件の提示前に、有責配偶者からの離婚請求が信義誠実の原則(信義則)に照らして許されるのか判断する考慮要素(信義則の判断要素)を示しています。
そのため、一般論として、状況により認容さる場合も認容されない場合を示したに過ぎす、信義誠実の原則に照らして判断すべきとしているに過ぎないとするものもあります。
上記の信義則の判断要素と3要件の関係についても、
・信義則は3要件に集約されているという見解
・3要件の他に信義則要素を総合されて離婚請求の可否が決まるとする見解
・信義則の判断要素である諸要素のほうが3要件よりも重要であるとする見解
があります。
また、3要件の②に未成熟子の存在がありますが、上記最高裁大法廷判決の最高裁判所調査官による判例解説でも、未成熟子の存在をもって有責配偶者か離婚請求が否定されるものではないとされていました。
そして、その後、最高裁判所も最判平成6年2月8日判例タイムズ858号123頁において、未成熟子が存在する有責配偶者からの離婚請求を認めています。
このように、3要件は必ずしも貫徹されていません。
有責配偶者からの離婚請求については、どのような場合に認められのか、なかなか難しい面があります。
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